研修用プレゼンで使える! アクティビティ 5 選

学校や会社でプレゼンをするとき、一番大切にしていることはなんでしょう?話の流れや話し方、スライドの見やすさなど、大切な要素を挙げるとキリがありません。

しかし、共通しているのは、聞き手を思いやっているということ。では、聞き手が主役になれるプレゼンとはなにか。それは、聞き手が主体的に参加できるプレゼンです。

この記事でわかること

  1. アクティビティを取り入れるメリット
  2. 目的に応じた具体的なアクティビティ案

今回は、聞き手が主体的にプレゼンへ参加できる方法の一つである、アクティビティについて解説していきます。特に、長めのプレゼンや研修などで取り入れることで、プレゼンのメッセージを効果的に伝えることが可能になります。

アクティビティを取り入れる良さ

アクティビティとは

アクティビティとは、個人 or グループで特定の作業(ワーク)をして、学びを得たり、スキルを身につける場のこと。企業などがワークショップとしてアクティビティを行なったり、セミナーの 1 イベントとして行われる場合もあります。

プレゼンとアクティビティの相性は抜群です。アクティビティを行うことで、聞き手が主体的に作業に取り組み、思考をほぐすことができます。そのため、プレゼンにアクティビティを取り入れると、話し手の主張を熟考・実感しやすくなります

人は忙しいほど満足する

静かにプレゼンを聞いている間、聞き手は様々な思考を巡らしています。しかし、聞き手の集中力には限界があります。ちなみに、聞き手の集中力を考慮したプレゼンの方法は、下の記事で紹介しています。

7分ごとに「変化」を入れて 退屈なプレゼンから卒業しよう!【長時間の発表向け】7分ごとに「変化」を入れて退屈なプレゼンから卒業しよう!

聞き手の集中力を継続するには、何かしら「変化」を加えてやるのが、効果的。そこで、プレゼンの中盤にアクティビティを導入することで、聞き手の集中疲れをリセットできるんです。

また、人には「何かしていたい」という心理が働いており、ただプレゼンを聞いただけよりも、作業をこなし自分の中で気づきを得ながらプレゼンを聞く方が、満足感を得ることができます。つまり、聞き手は忙しい方が満足するのです。

アクティビティの効果

これまでに紹介したアクティビティ導入の効果を整理してみましょう。

  • 聞き手の思考をほぐして、熟考しやすくする
  • 聞き手が主体的に作業する時間を作れる
  • 聞き手の集中疲れをリセットできる

ここまでは、アクティビティ全般の話でした。しかし、話し手の目的によって行うアクティビティの内容は異なります。「俯瞰する力」、「想像力」、「分析力」、「問題解決力」、「戦略の思考力」のうち、どの能力を刺激したいかで、アクティビティを選択する必要があります。

自分のプレゼンの流れに合ったアクティティを選んで、取り入れてみましょう!

目的に合ったアクティビティを取り入れよう

俯瞰する力をつけるアクテビティ

考え方や目標を可視化すると、人生に意欲が湧きやすくなります。また、一歩引いた目線で、自分自身を俯瞰することで、冷静に考える余裕をもつこともできます。

俯瞰する力をつけるアクテビティは、主にひとりでじっくり考えるものが有効です。例えば、以下のようなものがあります。

マンダラチャート

マンダラチャートとは、中央に理想の自分を書き、その理想に必要な能力 8 つを書き出します。さらに、必要な 8 つの能力を身につけるための行動やスキルを洗い出す、という目標実現のための可視化方法です。マンダラチャートによって目標を細分化して、今やるべき行動を言語化することができます。

埋める項目が 81 個と多いので、10 ~ 20 分程度かけて行うものになります。具体的な方法については、こちらのサイトを読んでみてください。


人生ビンゴ

人生ビンゴは、ビンゴカードを 1 年間の目標で埋め、達成できれば穴を空けていく…というものです。プレゼンのアクティビティでは、参加者の直近の目標を可視化するツールとして使うことができます。人生ビンゴを考案している、うえはらけいたさん(@ueharakeita)の記事に詳細が載っているので、利用する場合は以下のリンクを参照してください。


モチベーショングラフ

横軸を時間として、良い出来事は高い位置に、悪い出来事は低い位置に書き込んで、人生の上がり下がりをグラフにしたものが、モチベーショングラフです。自分のこれまでの歴史を振り返ることができ、現在の人生への満足度を俯瞰して見ることができます。モチベーショングラフを作成することで、どんなときに自分が喜怒哀楽を感じるかを確認できるので、自分の感情の変化に敏感になることができます。モチベーショングラフの詳しい書き方は、こちらを参考にしてみましょう。

想像力を高めるアクテビティ

想像力を高めると、多角的な視点で考えられるようになります。そのため、想像力を高めるようなワークをすると、普通のことであっても、参加者は「何か新しい観点があるのではないか?」と探すようになります。

想像力を高めるアクティビティは、1 人から少数人のグループで行うのがオススメです。例えばこんなものがあります。

  • 与えられたお題の絵を描く
  • 芸術鑑賞

与えられたお題の絵を描く

絵を描くのは、頭の中にあるぼんやりとしたものを具体化する方法の一つです。与えられたお題に沿って考えを膨らませることで、想像力を高めることができます。また、他の参加者が描いたものを見ることで、「そんな考えもあるのか」という刺激を得ることもできます。

お題は、ざっくりとしている方が、想像力を働かせやすいです。例えば、「自分を象徴するもの」や「世間に影響を与えているもの」などです。いざ、「自分を象徴するものとは何か」と考えてみると、たくさん挙げられそうですよね。絵を描くことで、混沌とした頭の中を整理することができるんです。


芸術鑑賞

芸術作品をみて、作者の伝えたいことを考える芸術鑑賞も、想像力を刺激する方法の一つです。芸術鑑賞というと、敷居の高い印象があるかもしれません。しかし、芸術鑑賞に必要なのは、前提知識ではありません。絵をじっくり分析する集中力と、何が書かれているかを考える想像力です。末永 幸歩の書籍《 13 歳からのアート思考》を読むとより実感できます。《 13 歳からのアート思考》を参考に、プレゼンのアクティビティとして芸術鑑賞を入れてみるのもいいでしょう。

分析力を高めるアクテビティ

分析力を高めると、グッと集中してプレゼンを見たり、聞いたりできるようになります。また、分析力の高まった状態では、プレゼンの最中に、気になる点を見逃しにくくなるので、質疑応答も活発になる可能性があります。自分のプレゼンをブラッシュアップするためにも、活発な議論は大切です。

分析力を高めるアクティビティは、個々もしくは聞き手同士が 1 対 1 で行う形がオススメです。例えば以下のようなアクティビティがあります。

  • 虫食いグラフの分析
  • 他己紹介
  • 褒めごろし大会

虫食いグラフの分析

穴埋めは、思考トレーニングの基本です。多くの人が小さい頃から、〇〇ドリルで訓練してきた穴埋め問題。穴埋めを大人バージョンにすると、グラフの読取りや文章から意図を読取るといった「行間を埋める」アクティビティに置き換えることができます。

簡単な例を二つ紹介しましょう。まずは、「グラフの読取り」に関するアクティビティです。話し手はまず、横軸が年代、縦軸が商品の売上を示す、折れ線グラフを聞き手に見せます。ここで、折れ線グラフが急上昇した時に、何が起きたのかを聞き手に推測してもらいます。聞き手は、年代や商品の性質から、思考をフル回転して、答えを考えます。一つのグラフだけでなく、複数の表やグラフを提示してあげることで、より考慮することが多くなり、分析力を高めることができます。

二つ目は、「文章から意図を読取る」アクティビティです。これは、SE(システムエンジニア)や IT コンサルの方が行っている「要件定義」と同じです。SE さんは、顧客からの依頼に基づいて、システムを構築しますが、顧客に言われた機能を全て搭載すれば良い、というわけではありません。顧客の中の潜在的な要求を汲み取って、システムを作る必要があります。この、「潜在的な要求を汲み取る」というのが分析力の向上につながります。具体的なアクティビティとしては、擬似顧客の情報や要求を文章にした資料を参加者に渡し、言語化されていない顧客の真の要求は何か、を考えてもらうという形です。


他己紹介

初対面の人を紹介するというアクティビティの他己紹介。知人を紹介しても良いのですが、初対面の方を紹介する方が、分析力を問われます。参加者に、 1 対 1 でペアを組んでもらい、1 分間だけ話をしてもらった後、第三者に向けて他己紹介をしてもらいます。

少ない情報しかないため、紹介する対象の人物の話や話し方、雰囲気を分析しながら、「実はこんな人なのではないだろうか」と推測することも必要になります。頭をフル回転させながら、観察をしてもらうことで、分析力を高めることができます。


褒めごろし大会

初対面の人を褒めちぎるというアクティビティ。参加者に 1 対 1 でペアを組んでもらい、話しながらお互いを褒め合ってもらいます。他己紹介と同様、相手の話をよく聞きながら、褒めるポイントを探す必要があります。もちろん、雑な褒め方は相手を不快にするので NG です。とても簡単なアクティビティですが、分析力や推測力を高めてくれるアクティビティです。

問題解決力を刺激するアクテビティ

仕事において、問題解決能力は必要不可欠です。ビジネスのフレームワークであるPDCAOODAについて話たいときに、問題解決能力を高めるアクティビティが有効です。

問題解決力を高めるアクティビティは、4 ~ 5 人のグループで話し合いながら進めていく形がオススメです。例えば以下のようなものがあります。

  • マシュマロ・チャレンジ
  • 新聞紙タワーを作る

マシュマロ・チャレンジ

パスタ 20 本、セロハンテープ、ハサミ、ひも、マシュマロを使い、より高い位置にマシュマロがくるような自立するタワーを作るアクティビティです。食品を使うのに抵抗があれば、パスタを紙で代用することも可能です。参加者は、仮説を立て、実行し、失敗を繰り返しながら、高いタワーを作っていくことで、PDCAを実感することができます。また、ゲーム感覚で行うこともができるため、楽しく取り組めるのもポイントです。


新聞紙タワーを作る

新聞紙のみを使って、自立する高いタワーを作るアクティビティです。マシュマロ・チャレンジとよく似ていますが、新聞紙タワーでは、新聞紙しか使えないというのが相違点です。新聞紙の性質をよく観察して、自立させる必要があるので、宮大工の木組みのような柔軟な発想が必要になります。また、グループで話し合いながら、作業を進めるため、コミュニケーション能力も必要になります。

戦略の思考力を育むアクテビティ

学業においても、仕事においても、戦略を立てる力は欠かせません。アクティビティによって、戦略の思考力を刺激することで、参加者は目標達成のための計画の重要性を実感することができます。

戦略の思考力を育むアクティビティは、敵・味方があっての戦略ですから、主にグループで行うのがオススメです。戦略の思考力を、お手軽に刺激するには、以下のようなボードゲームがいいでしょう。

人狼

人狼は、プレイヤーが市民と市民を食らう人狼に分かれ、生き残りをかけて話し合いや分析を重ねるゲーム。中高生から大人までハマる対人ゲームですが、市民でも人狼でも、戦略を練って勝利を掴む必要があります。戦略といえど、1人で全ての物事(誰を人狼と仮定するか、など)を決めることは出来ず、話し合って誘導する必要があるため、思考力トレーニングに最適です。カードゲームとして販売もされていますし、最近ではスマホでもアプリが開発されているので、アクティビティにも取り入れやすいでしょう。


Marketing Town

Marketing Townは、プレイヤーが経営者となって、毎ターン変化する仮想の市場で会社を経営するというボードゲームです。マーケティングスキルを高めるために、このようなボードゲームを会社の研修に取り入れているところもあります。筆者が SIer(システムインテグレーター)の大手 O 社のインターンに参加した際にも、自社開発の経営体験ゲームを経験しました。ゲーム感覚で楽しめながらも、生半可な考えでは成功しない体感型ボードゲームをアクティビティとして取り入れるのもいいですね。


カタン

戦略的に土地を広げて、資材を集め、誰よりも早く自分の領地を発展させるゲームです。得られる資材は、サイコロによって決まる部分もあり、運要素も存在し、運も考慮した上で戦略を立てる力が問われます。また、ライバルと交渉することで、資材の交換が可能なため、いかにライバルを納得させて、自分の取引を成功させるかといった交渉力も刺激されます。ボードゲームは大きいイメージがありますが、カタンは、持ち運べる小さなサイズも売られています。

まとめ

今回のポイント
  1. アクティビティで聞き手の集中疲れをリセット
  2. 人は忙しいほど、満足する
  3. 目的に応じたアクティビティを取り入れる

プレゼンで取り入れたいアクティビティは合ったでしょうか?自分の伝えたいことや、話の流れに則したアクティビティを取り入れてみてくださいね。

アクティビティによって、聞き手の「俯瞰する力」、「想像力」、「分析力」、「問題解決力」、「戦略の思考力」といった様々な力を刺激することができます。ぜひ、研修などで実施してみてください。

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