テレビ局D の著書「伝え方の法則」から学ぶ、あざとい伝え方

伝え方の法則

すごい妙案を思いついても、自分の伝え方に自信がなくて上手く発信できない…そんな経験はないでしょうか。どうしたら「いいじゃん!ワクワクするね」と、言ってもらえるかが分かれば、少し自信を持てるのにと。こんな時は、技術を持っている方にアドバイスをもらいたいですよね。

では、物事を伝えるのが上手い人って誰でしょう?あなたの恩師?オンラインサロンのあの人?クイズ王?色々と候補は出てきますが、明日会って教えてもらうのは難しいですよね。

やっぱり、手っ取り早いのは書籍です。今回は、「伝えるノウハウの塊」であるテレビ局で、ディレクターを努める本橋亜土氏の書籍《ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則》を参考に、プレゼンで使える伝え方のポイントを学んでいきましょう。

この記事でわかること

  1. テレビが「伝え方」の参考になる理由
  2. 聞き手を疲れさせない話し方
  3. 共感で相手の心をつかむ方法
  4. ちょっと加えるだけで、魅力的になる「言葉」

この書籍のポイントは、表紙に書いてある通り「センス不要 すぐ使える」ということです。新しいキャッチコピー考えよう!のようなクリエイティブなテーマでは、真似しても二番煎じになりがちですが、この本では伝え方の「設計図」を教えてくれるので、自分のケースに当てはめて応用できところが魅力です。

テレビの伝え方って参考になるの?

正直なところ、テレビなんて最近の若者は見てないし、参考にするところってあるの?と、疑問に思っている方もいるでしょう。動画配信サービスが充実して、個々に好きな動画を視聴するようになったため、広い世代をターゲットとしているテレビは需要が減ってきました…。そこで、少し見方を変えてみましょう。

「好きな芸能人の出ないテレビのバラエティ」と「興味のないYouTuberのバラエティ」、どちらの方が長く見ていられそうですか?

興味関心がない場合は、テレビ番組の方がダラダラとでも見ていられます。それは、視聴者の楽しませ方を考えてきたテレビの技術が詰まっているから。

テレビを見るのはタダですし(NHKの料金はさておき)、伝え方の参考として見てみるのがオススメです。

コロナ禍でのオンライン化

2020年、コロナが広がったことで「対面」での行事が規制され、代わりに「オンライン」が主流になってきました。学校や仕事で、オンラインを経験して感じるのは、「やり辛さ」ではないかと思います。対面だったら伝わるちょっとしたニュアンスも、オンラインだと伝わらない。変な空気になったり、誤解を生んだりする。

そんな時、オンラインでの伝え方に精通しているアレを参考にして欲しいのです。それは、やっぱりテレビ。わたしたちがオンライン化でバタバタする何十年も前から、テレビはオンラインで情報を伝えている大先輩だったのです。

YouTubeの動画が短い理由

多くのYouTuber入門書で「尺は 20 分すべし」と書かれています。理由は、視聴者の離脱と映像の間伸びを防ぐため。20 分あれば十分な企画ができ、視聴者も無理なく見れる長さなので、ファンがつきやすくなります。また、8 分以上なので、動画の合間に広告を挟むこともできます。お金を稼ぐ上で、初心者にはベストな尺なのです。

しかし、テレビで 20 分の番組はあまり見ません。通常は 1 時間、短くても 30 分が普通です。駆け出しYouTuberとなると、30 分間伸びなしのコンテンツを作るのは至難の技。テレビ番組は、私たち素人が意識できていないポイントを押さえて視聴者を「ダラダラ見てしまう現象」へと誘っているのです。

相手が疲れない話し方をする

「考える」は体力を使う

テレビがダラダラと見れてしまう理由。それは、視聴者の私たちに「考えること」を強要していないからです。人は考えたり、何かを選択するとき、気付かぬうちに多大な労力を要しています。「つまり、どうゆうこと?」とか、「本当にそうなんだろうか?」と考え込むことで、視聴者は非常に疲れてしまいます。

意見を言うときに、意識するべき「結論ファースト」と言う言葉。これもまた、相手を疲れさせない方法の一つです。そもそも聞き手は、わたしたちが思っている以上に、話に興味を持っていません。なので、余計なことを考えさせずに、聞き手の興味がありそうな情報で「前のめり」にさせ、ここぞ!という所で労力を使ってもらう必要があります。

聞き慣れない言葉を使うのは、ナンセンス

横文字の言葉は、聞き手を疲れさせる要因になります。横文字とは、タイトルで使っているようなカタカナ語(ナンセンス:意味のないこと)のことです。普段聞かない・使わない横文字を使われると、聞き手は意味を汲み取るのに時間がかかります。社内や同じ業界なら、知らない方が恥ずかしい横文字の言葉であっても、普段その横文字を使わない方にとって、知らない言葉のオンパレードは疲れてしまいます。

こんな経験はないでしょうか。友人と久しぶりの会話で、知らない横文字が二連発。「それって、どうゆう意味?」と、横文字の意味を質問すると、その説明にも知らない横文字が…。これが、わからない言葉の無限ループです。こんなんじゃ、会話になりませんよね。

特に、聞き手がビジネスの相手なら、無意味な横文字は控えて、わかりやすい日本語で話したほうが、伝わりやすく、誤解も生みにくくなります。字面のかっこよさではなく、わかりやすさを意識しましょう

つかみを制する

最初の 1 分で聞き手に「聞くメリット」を伝える

聞き手を惹きつけるには、最初の1分が肝心になります。「面白そう!」とか「気になる!」といった気持ちを聞き手にもってもらう必要がありますが、何が「面白そう」と思ってもらえるか、謎ですよね。

そこで、着目したいのが「聞き手に、(話を聞く)メリットを提示する」ということです。例えば、ダイエットの番組で「一瞬で脚痩せ!プロ直伝の “足ツボ” を紹介」とあれば、この番組を見れば脚痩せの方法がわかるというメリットが一目瞭然です。

最初に、聞き手の「知りたい!」という気持ちをつかむことで、プレゼンに集中してもらうことができます。そう、気の利いたギャグなんて入れる必要はないんです。冒頭に聞くメリットをチラつかせるだけでいいのです。

話の導入方法についてはこちらの記事でも紹介しているので、参考にしてみてくださいね。

【プレゼンの導入】聞き手の心をつかむための「基本の考え方」と3つのコツ

「街頭インタビュー」は共感を生むための手段

ニュース番組やワイドショーの冒頭によくある「街頭インタビュー」。これ、どんな目的があると思いますか?答えは、タイトルにもある「共感」を生むためです。

一般の人の声を集めることで、視聴者に「そうそう、私も思ってた」とか「よくぞ言ってくれた!」という気持ちを奮い立たせて、心をつかんでいるのです。つまり、共感を得るポイントは「あるある」を浮き彫りにするということ。

プレゼンの冒頭で「聞くメリット」を示し、導入で「あるある〜」を誘うことができれば、聞き手を前のめりにさせることができます。もちろん、「あるある」は本当にあるのか確認してから使いましょう。社内の人に確認してもいいし、それこそ街頭インタビューをしてもいいでしょう。

話し手の独りよがりな「あるある」だと、聞き手は違和感を感じて、聞き入ってくれない可能性があります。最悪の場合、「え?そんなことある?」と余計なことに考える労力がとられ、プレゼンの途中で集中力が切れてしまいます。

「ちょい足し」で魅力を 2 倍にする言葉

「肩書き」で権威をアピール

書籍でもブログでも講演でも、書き手や話し手の権威(すごい人だぞ!という証明)を示すことで、言葉の重みが増します。しかし、ここで言う「肩書き」は、地位や役職のことではありません。

例えば、これらも「肩書き」なのです。

  • 日本最古の 〇〇
  • 三大 〇〇 の1つ
  • 再生回数 〇 万回
  • 〇〇 史上、初

コンテンツの「強さ」をアピールするような肩書きをつけることで、聞き手の興味をそそることができます。しかし、そんなアピールポイントはないよ…という場合も多々ありますよね。

そんなときに使えるのは、「モノサシのない肩書き」です。

「モノサシのない肩書き」とは、例えば「注目度」「人気」「緊急」「徹底」などがあります。どれも、聞き手の興味を引くキーワードですが、具体的な数値基準が存在しません。モノサシのない肩書きを上手く取り入れることで、ウソをつくことなく、箔をつけることができるのです。

  • 注目度ナンバーワンの〜 → 何をもって、ナンバーワンかはナンバーワンかはモノサシがない。
  • 人気急上昇中の〜 → 人気の急上昇率を、数字で意識している人は少ない。
  • 緊急告知!→ 何を緊急とするかは、人によってそれぞれ。
  • 徹底討論 → その人が、徹底したと思えば、それはもう徹底。

ひねくれているように感じるかもしれません。しかし、モノサシのない肩書きをあざとく使って魅せることで、何の変哲もないコンテンツを興味深いコンテンツに変身させることができるのです。

「限定」で特別感をアピール

あなたの人生を変える方法が 1 つだけあります。

ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則

こう言われたら、「え、何だろう?」と知りたくなりますよね。「1 つだけ」という単語は魔法の言葉です。これをプレゼンで活かせば、聞き手の興味を引くことができるんです。

目まぐるしく変わるTikTokのトレンドの中で、

1 つだけ変わらない法則があります。

それは…

この、限定感を匂わせた「振り」をすることで、聞き手は「なんだ!?」と期待を寄せてくれるのです。また、本橋氏曰く、「〇個だけ」という限定ワードは、 3 つまでが効果的だそうです。「だけ」と言ってるのに、4 つも 5 つもあったら、限定感が薄れるためです。

使い方に気をつけたい「級」

「級」と言う言葉は、使い方によって「残念な言葉」にも「助け舟」にもなります。注意しましょう。例えば、日本最大の山を紹介するときに、「日本最大 “ 級 ” の〇〇山」と伝えると、せっかく一番なのに一番でない印象をもたれます。

逆に、6 番目くらいのサイズの山だけど、大きいことを強調したいには、「日本最大 “ 級 ” の〇〇山」とすることで、ウソをつくことなく印象を強めることができます。

何気なく使ってしまいがちな「級」ですが、曖昧さを持ち合わせている単語なので、使い所には気をつけたほうがいいかもしれません。

まとめ

今回のポイント
  1. 聞き手が考えなくて良い話し方を徹底(結論ファーストなど)
  2. 伝わらない可能性があるので、横文字はできるだけ使わない
  3. 「聞くメリット」と「あるある」で聞き手の興味をひく
  4. 「モノサシのない肩書き」で箔をつける

一つでも「なるほど!」と思えるコツは見つかったでしょうか?テレビには、今日紹介したような手法を使って、視聴者が離脱しないように心がけています。「伝える方法の教科書」としてテレビを見るのも良いかもしれませんね。

今日紹介した内容を仕事に少しずつ取り入れて、妙案を興味深く伝えられる練習を積んでいきましょう!成果がでれは自身も湧いてくるはず。

今回、参考にした書籍《ありふれた言葉が武器になる 伝え方の法則》では、「言いたいことを記憶に残す方法」や「ピンチをチャンスに変える言い換えとギャップの使い方」など、本記事では書けなかった手法がたくさん詰まっています。もっと読みたい!という方は、ぜひ読んでみてくださいね。

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